今年のインフルエンザ患者数は、警報レベルを超えた区域が490か所、注意報レベルが56か所で、いずれも全国に分布しています。入院患者数は5,144例、統計開始以降最多となっています(2024年12月23日~12月29日)。

一方、2025年第4週(最新)の定点当たり報告数は11.06(患者報告数54,594)で、前週の18.38より減少。全国の推計受診者数も約38.6万人と前週(約64.5万人)から減少し、流行はやや落ち着きを見せています。(参照:国立感染症研究所

「子どもが中学受験を控えているので、インフルエンザにかからないか心配・・・」と悩む母親の画像です。

インフルエンザの予防には、主にワクチン接種が推奨されていますが、特定の状況では抗インフルエンザ薬を用いた「予防的投与」が行われることがあります。サピックスに入塾されているなど、大切なお子様がいる方は特に注意したいのが受験シーズンのインフルエンザです。以下に、予防的投与の概要、使用される薬剤、対象者、効果について詳しく説明します。


予防的投与とは

予防的投与とは、インフルエンザ患者と接触した人が感染を防ぐために、抗インフルエンザ薬を服用または吸入する方法です。通常、患者との接触から48時間以内に投与を開始することが推奨されます。

目的

  • 感染リスクが高い人がインフルエンザに罹患するのを防ぐ。
  • 重症化リスクが高い人の健康を守る。

注意点

  • 予防的投与は必須ではなく、医師の判断に基づいて行われます。
  • 保険適用外であるため、自費診療となります。

使用される薬剤

予防的投与に使用される主な抗インフルエンザ薬は以下の通りです:

薬剤名 投与方法 使用期間 特徴
オセルタミビル(タミフル) 経口(カプセル/液体) 7~10日間 最も広く使用される薬剤。1歳以上で使用可能。
ザナミビル(リレンザ) 吸入 10日間 吸入薬で、5歳以上が対象。喘息などの呼吸器疾患がある人には不適。
ラニナミビル(イナビル) 吸入 1回または2日間 単回吸入で済むため、利便性が高い。5歳以上で使用可能。
バロキサビル(ゾフルーザ) 経口(錠剤/顆粒) 1回 新しい作用機序を持つ薬剤。5歳以上で使用可能だが、妊婦や免疫低下者には不適。

予防的投与の対象者

予防的投与が推奨されるのは、以下の条件に該当する場合です:

  1. インフルエンザ患者と濃厚接触した人

    • 同居家族や共同生活者がインフルエンザに罹患した場合。
  2. 重症化リスクが高い人

    • 高齢者(65歳以上)
    • 慢性疾患を持つ人(呼吸器疾患、心疾患、糖尿病、腎疾患など)
    • 免疫機能が低下している人(がん治療中、免疫抑制剤使用中など)。
  3. 特定の事情で感染を避けたい人

    • 試験や重要な仕事を控えている場合など。

イナビル・リレンザの効果、副作用は?

イナビル(一般名:ラニナミビル)とリレンザ(一般名:ザナミビル)は、インフルエンザウイルスの増殖を抑えるノイラミニダーゼ阻害薬に分類される吸入薬です。発症後48時間以内に使用することで、症状の持続時間を短縮する効果が期待でき、予防的に投与することで感染リスクの軽減にも役立ちます。ただし、使用にあたってはそれぞれの特徴や副作用を理解することが大切です。

イナビルは 1回の吸入で治療が完了する という手軽さが特徴です。予防目的でも 1回の吸入 で効果が期待できるため、継続的な服用の必要がありません。一方で、副作用として のどの刺激感や咳、吐き気、腹痛 などが報告されており、まれに 発疹やかゆみ などのアレルギー反応が生じることもあります。また、喘息などの持病がある方は 呼吸困難や喘息発作 に注意が必要です。さらに、小児・未成年では 異常行動のリスク も考慮し、服薬後はできるだけ目を離さないことが推奨されています。

リレンザは 1日2回、5日間の吸入 が必要で、予防目的で使用する場合は 10日間の継続使用 が推奨されます。服用期間が長い点はデメリットですが、発症後の症状緩和や予防効果は期待できます。副作用としては、吸入時ののどの刺激感や咳、頭痛、めまい などが報告されており、まれに 呼吸困難やアレルギー反応 が起こることもあります。特に喘息や慢性呼吸器疾患のある方は、吸入時に気道が刺激され 喘息発作を誘発する可能性がある ため、慎重な使用が求められます。

このように、イナビルとリレンザはどちらもインフルエンザ治療や予防に有効ですが、吸入の回数や副作用のリスクが異なります。どちらを選ぶかは、年齢や健康状態、ライフスタイルに応じて医師と相談しながら決めることが重要 です。

ワクチン接種と予防的投与の違いとは?

インフルエンザの予防には、大きく分けて「ワクチン接種」と「予防的投与」の2つの方法があります。それぞれの目的や効果について理解しておくことで、お子様やご家族に最適な選択が可能になります。

ワクチン接種

ワクチン接種は、事前に体内に免疫をつけることで、インフルエンザに感染するリスクを軽減する方法です。接種後、免疫ができるまでに約2週間を要します。そのため、流行前の早めの接種が推奨されます。

特に受験シーズンを迎えるお子様にとっては、安定した健康状態を保つための重要な手段となります。

予防的投与

予防的投与は、すでにインフルエンザが流行している環境下で、感染リスクを下げるために抗インフルエンザ薬を服用する方法です。

この方法は、ワクチンを接種していない場合や、ワクチンの効果が発現するまでの間、または接触リスクが高い場合に有効とされています。

インフルエンザの予防薬(予防的投与)が必要なのはどんなとき?

以下のような状況において、インフルエンザの予防薬(予防的投与)が有効とされています。当院では、個々の状況に合わせた適切なご提案を行っていますので、ぜひご相談ください。

  • 家族や身近な人がインフルエンザに感染しており、濃厚接触が避けられない場合
  • 受験を控えたお子様や、その家族で感染リスクを最小限にしたい場合
  • インフルエンザのワクチン接種が間に合わず、すぐに予防が必要な場合
  • 免疫力が低下しており、感染時の重症化リスクが高い場合
  • 高齢者や持病のある方など、インフルエンザ感染による影響が大きい場合
  • 医療従事者や学校の先生など、多くの人と接する仕事をしている場合

これらに該当する方は、ぜひお早めに当院へご相談ください。当院では専門の医師が一人ひとりの状況を丁寧に診断し、最適な治療法をご提案いたします。

中学・高校・大学受験を控えたお子様がいるなら、うめだDMクリニックへ

受験を控えたお子様にとって、健康管理は合格への第一歩です。インフルエンザに感染するリスクを減らし、万全な体調で試験に臨むためには、予防的対策が重要です。

うめだDMクリニックでは、受験シーズンの特別なニーズに対応するため、以下のようなサポートをご提供しています。

  • お子様に適したインフルエンザ予防接種や予防的投与についての的確なアドバイス
  • 忙しいご家庭に配慮した柔軟な予約スケジュール
  • 医師による丁寧なカウンセリングと健康アドバイス

受験生をサポートする経験豊富な医師が在籍しており、不安な点やご質問にも親身に対応いたします。

どのような対策が最適なのか」「費用やスケジュールはどうすればよいのか」など、些細なことでもお気軽にご相談ください。

当院がご家族の健康を全力でサポートいたします。

まずはお気軽にお問い合わせください。

ご予約やご質問は、電話またはウェブから承ります。受験シーズンを安心して迎えるために、ぜひ当院をご利用ください。

執筆|梅田 芳彦(うめだDMクリニック院長)

院長・医学博士・法務博士・日本糖尿病協会登録医・公認心理師

当院では、一般内科(糖尿病・甲状腺疾患・高血圧・高脂血症・その他)の診療を行っております。

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